今回は電気回路について解説します。
今まで解説してきた数学と論理学の知識を工学が、いかにコンピュータとして形にするかを解説します。
これまで解説した数学と論理学は、あくまで抽象的な話です。
これらの知識をコンピュータとして具体的な形にするには工学、特に電気工学の知識が必要でした。
具体的にはクロード・シャノンの情報理論について解説します。
まずは論理演算を、電気回路を使って実現した歴史から解説していきます。
1900年頃、当時の科学者や数学者達は電子式の計算機を作ろうとしていました。
「+」「-」「×」「÷」を行う電卓のことです。
電卓を作る研究の中から、コンピュータは生まれました。
0と1を内部で高速に計算することがコンピュータの本質なのです。
ここで皆さんも一緒に考えてみましょう。
電卓を作るには、どうしたら良いのでしょうか。
科学者達は最初、歯車や滑車、シャフトを組み合わせて電卓を作ろうとしました。
つまり、機械式の計算機です。
しかし、ここで想像してもらうと分かると思いますが、歯車を使って「+」「-」「×」「÷」を表すと、仕組みがあまりに複雑になりすぎてしまう問題がありました。
同じ事を19世紀に考えた人がいました。
イギリスの数学者チャールズ・バベッジは階差機関という、こちらも機械式の計算機を考えます。
バベッジは人間に計算させるよりも機械に計算させればミスは無いと考え、開発に着手します。
しかし、開発費用が足りずに、残念ながら開発を完成させることはできませんでした。
歯車や滑車に計算をさせると、仕組みが複雑になり過ぎ、故障の原因にもなります。
また、計算をする速度は歯車の動くスピードに縛られるので、大量の情報を素早く処理することができないのです。
そこで科学者達は、電気で計算をすることを考えます。
歯車や滑車などを使わずに、電気を使ってシンプルに設計することにしました。
しかし、0〜9の数字を電気で表すことが非常に難しいことに気が付きます。
0〜9の数字を使った計算は、私たちが最も慣れ親しんだ10進数による計算です。
それなのに、なぜ10進数を使った電気回路を作ることはできなかったのでしょうか。
それは、10通りの電気の強弱を付けないといけないからです。
10進数の電気回路を作るには、例えば
- 1を表すには1ボルトの電圧
- 2を表すには1.1ボルトの電圧
- 3を表すには1.2ボルトの電圧
というように、数字に応じて電圧を調整する必要があります。
しかし、0〜9の10通りの電気で数を表現すると、10通りの電気の強弱をつけなければいけません。
すると、電気の力具合を少しでも間違えると、正しく計算をすることができません。
そのため、10進数を使った電気式の計算機は技術的に実現が困難でした。
そこで科学者達は2進数を使って数字を表すことを考えます。
0〜9の数字を「0」と「1」のみに置き換えれば、仕組みがシンプルになります。
10通りの電気の強弱をつける必要がなく、ONとOFFで「0」と「1」を表現できます。
0〜9の数字を「0」と「1」の2進数に置き換えると、次のようになります。
0の場合は0
1の場合は01
2の場合は10
というように、0〜9の数字を2進数に置き換えることができました。
しかし、これらの数字をどのように計算すれば良いのでしょうか。
私たちは子供の頃から10進数を使った計算をしてきました。
10進数に慣れ親しんだ私たちにとって2進数で計算をする電気回路を作ることは難しいことでした。
2進数で計算させようと言っても、どのような回路を作れば効率的に計算できるか分からなかったのです。
そこで登場したのが、クロード・シャノンでした。
シャノンがすごいのは、コンピュータとは縁もゆかりもない論理学を電気回路と結び合わせたことです。
彼は、ブールの論理演算を電気回路を使って実現します。
さらに電気による論理演算を使って「+」「-」「×」「÷」の四則演算を可能にしました。
電気回路を使って四則演算が可能になり、電子式計算機が実現し、これによってコンピュータができたのです。
参考図書
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