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「届ける」と「伝わる」は全然違う。講師として学んだ、相手を見ることの大切さ

「届ける」と「伝わる」は全然違う。講師として学んだ、相手を見ることの大切さ 講義をしていて、ふと気づく瞬間があります。

受講者の方が「わかった!」という顔をした瞬間、それが講師としての私にとって何よりも嬉しい瞬間です。

でも正直に言うと、最初からそんな瞬間を作れていたわけではありませんでした。

うまくいかなかった時期があったからこそ、今の自分がいるんだと思っています。


かつての私は、「内容さえ良ければ伝わるはずだ」と思い込んでいました。

準備した資料の量に自信を持ち、丁寧に説明すれば理解してもらえると信じていたんです。

ところが、ある講義で受講者の方々の表情をよく見てみると、みんな違う反応をしていることに気がつきました。

うんうんと頷く人、首をかしげる人、画面をじっと見つめたまま動かない人。

同じ説明をしているのに、理解の深さがまるでばらばらだったんです。

これは、講師としてのキャリアの早い段階で経験した、かなり大きな気づきでした。


そのとき初めて、「届ける」ことと「伝わる」ことは全然違うんだと痛感しました。

いくら丁寧に説明しても、受け取る側の状態に合っていなければ意味がない。

これが、私が講師として最初に経験した大きな失敗でした。


では、どうすればよかったのか。

答えはシンプルで、受講者一人一人の理解度や意識をしっかりと見ること、これに尽きます。

事前にそれぞれの知識レベルや学びたい気持ちを丁寧に把握しておくことで、その方に合ったより効果的な講義内容を組み立てることができます。

あなたも誰かに何かを教えた経験があるとしたら、相手によって話し方を変えたことはありませんか?

それが、まさにこの考え方の本質です。


たとえば、IT未経験の方にプログラミングを教えるとき、専門用語をそのまま使っても伝わりません。

でも、だからといって説明を省きすぎると、今度は「物足りない」と感じさせてしまいます。

ちょうどいい塩梅を見つけるためには、その人のことをきちんと理解していることが前提になります。

私はそれを怠ったせいで、何度か受講者の方を置いてけぼりにしてしまった経験があります。

そのたびに、「もっと最初から聞いておけばよかった」と深く反省しました。

この失敗が、今の私の講義スタイルをつくっていると言っても過言ではありません。


実際に事前ヒアリングの仕組みを取り入れるようにしてから、講義の手応えがまるで変わりました。

「どこまで知っているか」だけでなく、「何のために学びたいか」「どんな場面で活かしたいか」まで事前に把握しておくと、例え話の選び方ひとつでも大きく変わってきます。

受講者の方が自分の言葉で理解してくれたとき、講義が終わった後に「もっと知りたい」と言ってくれたとき、そういう場面がぐっと増えていきました。

手応えというのは、受講者の表情や言葉のなかにこそ現れるものだと、今はそう確信しています。


さて、これは講師と受講者の関係だけに限った話ではないと思います。

職場で後輩に業務を教えるとき、子どもに何かを説明するとき、友人の悩みにアドバイスをするとき。

相手の状態をちゃんと見てから言葉を選ぶことが、どれだけ大切かという話です。

とはいえ、「相手をちゃんと見る」って、言葉にすると簡単ですが、実際にやるのはなかなか難しかったりしますよね。


私が意識しているのは、まず「決めつけない」ことです。

「この人はIT未経験だからこのくらいの説明でいいだろう」という思い込みが、ときに一番邪魔になります。

実際に話してみると、独学でかなり進んでいた、なんてことも珍しくありません。

逆に、経験者と聞いていたのに基礎が抜けていた、ということもあります。

だから、事前情報はあくまで仮説として持ちつつ、実際の会話のなかで確かめていく姿勢が大切だと感じています。

これは、相手へのリスペクトでもあると思っています。


それでも、すべてを完璧に把握するのは無理です。

私も今でも、「もっとこの人のことを理解してから講義に臨めばよかった」と思うことがあります。

ただ、そう思えるようになったこと自体が、一歩前に進んだ証拠だとも感じています。

大切なのは、相手を見ようとする意識を持ち続けることなのかもしれません。

完璧でなくていい。

ただ、見ようとすること。

それだけで、関係はきっと変わっていきます。


実のところ、「相手を理解してから話す」という考え方は、仕事の現場でも大きな差を生みます。

ITの世界に長く関わってきましたが、技術を正確に伝えることと、技術を「その人に合わせて」伝えることは、全く別のスキルだと実感しています。

どれだけ知識があっても、相手に届かなければ意味がない。

それは技術の世界でも、日常のコミュニケーションでも、変わらない真実だと思います。


あなたの周りにも、もし「なかなか伝わらない」と感じている場面があるとしたら、ちょっと立ち止まって相手のことを見てみてください。

その人は今、どんな状態にいますか?

何を知っていて、何を求めていますか?

その問いを持つだけで、きっと伝え方が変わってくるはずです。


相手の目線に立つ。

それだけで、言葉の届き方がこんなにも変わります。

今日から、ちょっとだけ意識してみませんか。


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