人と人の距離が、じわじわと遠くなっている気がしませんか。
スマートフォンを開けば誰とでもつながれる時代なのに、どこか心の温度が下がっているような感覚を、私はずっと抱えていました。
通知の音が鳴るたびに誰かと「つながっている」気になれるのに、夜ひとりになった瞬間にふっと寂しさがやってくる。
そういう経験、あなたにもありませんか。
オンラインでのやり取りが当たり前になった今、「便利さ」と「温もり」はどこかトレードオフな関係になってしまったのかと、半ば諦めかけていたのが正直なところです。
結論から言うと、それは違いました。
対面で人と向き合う時間には、画面越しには絶対に伝わらない何かが宿っています。
うまく言葉にできないけれど、確かにそこにある温かさ。
そのことを、講義の現場で何度も何度も実感してきました。
私がプログラミングの講義を担当するようになった頃、最初はとにかく「内容を正確に伝えること」だけに必死でした。
スライドをきれいに仕上げて、説明の順番を整理して、質問に漏れなく答える。
それで十分だと思っていたんです。
ところが、ある受講者の方から「先生の講義は正確だけど、なんか怖くて質問しにくい」と言われた日の夜は、眠れませんでした。
ガーンと頭を殴られたような感覚でした。
正しいことを伝えているつもりが、相手の心には全く届いていなかった。
あの夜の後悔は、今でも鮮明に覚えています。
そこから意識が変わりました。
内容よりも先に、その場の空気を温めることを大切にするようにしました。
受講者の方が「また来たい」と感じられる雰囲気を作ること、それが講義の質そのものだと気づいたんです。
技術を教えているようで、実は「安心して失敗できる場」を作ることが、一番の仕事なのかもしれないと今は思っています。
実のところ、技術的な知識はあとからいくらでも補えます。
でも、「この場所は安心できる」「この人と話すのが楽しい」という感覚は、そう簡単には後付けできません。
だから私は毎回の講義で、受講者の方一人ひとりの表情を見ながら、声のトーンを合わせながら、時には話が脱線するのもあえて許容しながら進めています。
「今日はなんか元気なさそうだな」と気になったら、そっと声をかける。
そういう小さな積み重ねが、やがて信頼になっていくんだと感じています。
あなたは最近、誰かと目を合わせてゆっくり話しましたか。
ふと思うのですが、対面での会話って、実はすごく贅沢な時間なんですよね。
相手の表情の変化、笑い声の温度、ちょっとした間の取り方。
そういうものが積み重なって、人と人の間に本物の信頼が生まれていく。
オンラインツールがどれだけ進化しても、この部分だけは再現しきれないと感じています。
神奈川で仕事をしていると、地域のつながりのあたたかさを特に感じます。
顔見知りが増えていくことの、あの心強さ。
それはどんなアプリでも代わりにはなれません。
私自身、かつてITエンジニアとして働いていた時期に、人との関わりをうまく持てずに精神的に追い詰められた経験があります。
毎日パソコンの画面だけを見て、誰かに「助けてほしい」と言えないまま、どんどん孤独になっていった。
あの頃の自分に今の自分が声をかけるとしたら、「もっと人を頼っていいんだよ」と伝えたいです。
弱さを見せることへの恐れが、自分をどれだけ孤立させていたか。
それを乗り越えて今の仕事にたどり着いたからこそ、受講者の方たちが安心して「わからない」と言える場を作ることに、人一倍こだわっています。
さて、温かいつながりを作るためには、何か特別なスキルが必要なのでしょうか。
答えはノーだと思っています。
大切なのは、目の前の相手に本気で興味を持つこと、それだけです。
相手が何を面白いと感じているのか、どんなことに不安を抱えているのか、ちゃんと聞こうとする姿勢。
それがあれば、自然と会話は温かくなっていきます。
テクニックよりも、「あなたのことが気になっている」という気持ちを素直に持つこと。
シンプルに聞こえるかもしれないけれど、これが全てだと感じています。
講義を重ねる中で、受講者の方から「また来ます」「家族にも勧めました」という言葉をいただくたびに、この仕事をしていてよかったと心の底から思います。
うまく言葉にならないのですが、誰かの「楽しかった」が少しずつ積み重なっていく感覚は、何にも代えがたい喜びです。
発信しているこの活動が、少しずつでも誰かの日常を明るくしているとしたら、それ以上に嬉しいことはありません。
人とのつながりは、意識しないと細くなっていきます。
とはいえ、取り戻すのに時間はかかりません。
まず一人、今日話したい人に声をかけてみてください。
その小さな一歩が、思いのほか大きな変化を連れてきてくれるはずです。
難しいことは何もいりません。
ただ、目の前の人を大切にする気持ちを持つこと。
それだけで、あなたの周りの空気が少し変わっていくはずです。