プログラミングを始めたばかりの頃、「コードを全部暗記しなければいけない」と思い込んでいた時期がありました。
あなたはそんな経験、ありませんか?
実は、それが大きな誤解だったと気づいたのは、かなり後になってからのことです。
プログラミング講師として多くの受講者と向き合ってきた中で、同じ悩みを抱えた人たちに何度も出会いました。
「覚えられないから自分には向いていない」と諦めかけていた人たちです。
でも本当にそうなのでしょうか。
考えてみれば、日常生活でも私たちは何でも丸暗記しているわけではありません。
料理のレシピだって、必要なときにレシピ本を開けばいい。
大事なのは「レシピを暗記していること」ではなく、「美味しい料理を作れること」ですよね。
プログラミングも、それとまったく同じことが言えます。
「覚えていること」と「できること」は、まったく別の話なのです。
正直に言ってしまうと、現場で働くエンジニアでも常にドキュメントや検索エンジンを開きながらコードを書いています。
何も見ずにすらすらと書けることが「できる」の証明ではないんです。
必要な時に必要な情報をきちんと引き出せること、そして引き出した情報を正しく活用できること、それこそが本当の意味での「使いこなせる」状態だと、今は確信を持って言えます。
プログラミングの講義現場でも、「調べながら書いていいんですか?」と遠慮がちに聞いてくる受講者の方が多いのですが、私はいつも「むしろ積極的に調べてください」とお伝えしています。
調べることは決して恥ずかしいことではなく、正しい学び方のひとつなのです。
現に、研修現場で出会ったあるエンジニア志望の方は、「調べながら書いていい」と知っただけで、その日からコードを書くスピードが目に見えて変わりました。
私自身、エンジニアとして働いていた頃、完璧に覚えようとするあまり、かえって手が止まってしまうことがありました。
「このコードが正しいか自信がない」「もっと覚えてからじゃないと動かせない」と感じるたびに、次の一手が踏み出せなくなっていたんです。
ある日、先輩から言われた一言が今でも記憶に残っています。
「調べながら書けるなら、それで十分だよ」と。
その言葉を聞いた瞬間、ふっと肩の荷が下りた感覚がありました。
「完璧に覚えていないと前に進めない」という呪縛から解放された瞬間だったのかもしれません。
それ以来、調べることへの罪悪感がなくなり、むしろ効率よく情報を探すスキルを磨くことに意識が向くようになりました。
この変化が、のちの仕事のスタイルを大きく変えてくれたと感じています。
あなたにも、そんな「解放の瞬間」が訪れることを願っています。
プログラミングの世界には、もうひとつ誤解されやすいことがあります。
エラーの扱いです。
エラーメッセージを見ると途端に焦ってしまう、パソコンを閉じたくなる、という声をよく耳にします。
でも実のところ、エラーは敵ではありません。
「ここが違いますよ」「こちらを確認してみてください」と丁寧に教えてくれる、とても親切な案内役なのです。
講義の中で受講者の方々にそう伝えると、最初は半信半疑な顔をされることが多いです。
ところが、自分でエラーメッセージを読み解いて問題を解決できた瞬間に、その表情がぱっと明るくなる。
あの場面が、この仕事をしていて最もうれしい瞬間のひとつです。
エラーと正面から向き合う経験を繰り返すうちに、受講者の方たちはどんどん自信をつけていきます。
失敗を恐れるのではなく、失敗から学ぶ姿勢を持てた時、プログラミングは一気に楽しくなります。
そして、エラーを「壁」ではなく「ヒント」として読み取れるようになると、学習のスピードも加速していくのです。
完璧を目指さなくていい、というのも同じ話です。
一発で完璧なコードを書こうとすると、どうしても手が止まりがちになります。
まず動くものを作ってみて、少しずつ改善していく。
この地道な繰り返しが着実な成長を生み出すのです。
「動いた!」という小さな成功体験を積み重ねることこそが、実は一番の近道なのかもしれません。
完璧主義は時に、自分の可能性にふたをしてしまいます。
うまくいかなくて当然、それでいいんだ、と自分に言い聞かせることも、実力をつけていく上で大切なことだと思います。
とはいえ、もちろん向上心を持つことは素晴らしいことです。
ただ、完璧にこだわりすぎて一歩も踏み出せないよりは、少し荒削りでも動かしてみる方がずっと多くのものを得られます。
さて、あなたは今、プログラミングに対してどんなイメージを持っているでしょうか。
「難しそう」「自分には無理かも」と感じているとしたら、その気持ちはとても自然なことです。
でも、プログラミングは暗記科目ではありません。
調べながら、試しながら、エラーと向き合いながら少しずつ前に進んでいくものです。
そのプロセス自体を楽しめるようになった時、きっと世界がちょっと違って見えるはずです。
今日も画面の前で悩んでいるあなたに、そっと伝えたくて書きました。
あなたのペースで、ゆっくり進んでいきましょう。