プログラミング講師には、大きく2つの道があります。
スクールで教えるか、企業研修で教えるか。
あなたはまず、どちらを思い浮かべますか?
多くの人は「プログラミング講師=スクール」というイメージを持っているようです。
実際、私もかつてはそう思っていました。
スクールで受講者と丁寧に向き合い、成長を間近で見守る。
それはそれで、本当にかけがえのないやりがいがある仕事だと感じていましたし、受講者が「できた!」と顔を輝かせる瞬間は、何度見ても飽きることがありませんでした。
ただ、率直に言うと、時給という面では決して恵まれているとは言えなかったんです。
講義前日の夜遅くまで資料を丁寧に準備して、全力で臨んでいるのに、報酬がなかなか追いつかない。
あのもどかしさは、今でもはっきりと体の中に残っています。
一生懸命やっているのに、それが報酬として返ってこないとき、あなたはどう感じますか?
そんな日々を送っている中、ふとしたきっかけで「企業研修講師」という世界を知ることになりました。
最初は正直、半信半疑でした。
企業向けの研修なんて、自分のキャラクターや話し方に合うのだろうかと。
ところが思い切って飛び込んでみると、想像とはまるで違う景色が広がっていたんです。
受講者は目的意識がはっきりした社会人ばかりで、講義への集中力が全然違います。
「今日学んだことを、明日の仕事にすぐ使いたい」という熱量が、教室全体からひしひしと伝わってくる。
あの独特の緊張感と充実感は、スクールとはまた別の種類のやりがいでした。
実際に体験して初めて、「こんな世界があったのか」と思わずつぶやいてしまいました。
条件面についても、少し触れておきたいと思います。
企業研修は、スクール講師と比べて報酬水準が高い傾向にあります。
1日の研修で得られる報酬が、スクールでの数日分に相当することも珍しくありません。
とはいえ、準備は決して楽ではありません。
企業ごとにカリキュラムをゼロからカスタマイズする必要がありますし、参加者のITリテラシーも職場によってバラバラで、最初はどう組み立てればいいか頭を抱えたこともありました。
それでも、準備に費やした時間が報酬として正当に返ってくる感覚は、やはり全然違うものでした。
あなたは今、自分の努力が正しく評価される環境で働けていますか?
失敗も数えきれないほど経験しました。
ある企業研修で、「これはわかりやすいはずだ」と自信を持って持ち込んだ内容が、実際には難しすぎて、参加者の顔がみるみる曇っていくのを感じたときは、穴があったら入りたいくらいでした。
休憩中に「ちょっとついていけなくて……」と静かに声をかけてもらったあの瞬間は、今でも忘れられません。
自分の中では「丁寧に説明した」つもりでも、受け取る側にとっては全く別の話だったわけです。
それは、講義の現場だけでなく、日常のコミュニケーションでも、きっと同じことが起きているはずです。
あなたにも、思い当たる場面はありませんか?
そこから学んだのが、「相手の現在地から出発する」という、シンプルだけど実践が難しいことでした。
プログラミングの知識がある側の視点で講義を組み立てると、どうしても受講者との間にズレが生まれてしまいます。
それ以来、研修前には必ず担当者にヒアリングをおこない、参加者のスキルレベルや現場の課題感を丁寧に把握するようにしました。
カリキュラムを一から見直して臨んだ研修では、「前回よりずっとわかりやすくなりました」という言葉をいただけるようになりました。
小さな変化に見えても、この言葉の重みは全然違います。
準備の仕方一つで、教室の空気は大きく変わるものです。
努力の方向を少し変えるだけで、結果がこんなにも変わるとは、正直驚きでした。
さて、実のところ、企業研修講師という職種は、世の中にまだあまり知られていません。
でも、需要は着実に伸び続けています。
DX推進の波が多くの企業に押し寄せ、「社員にITの基礎から教えてほしい」「現場でそのまま使えるスキルを身につけさせたい」というニーズが急増しているからです。
IT企業での実務経験がある人や、プログラミングを人に教えた経験がある人は、それだけで大きなアドバンテージになります。
「自分のスキルや経験を、もっと広い場所で活かせないだろうか」と感じているなら、企業研修という選択肢を一度真剣に考えてみてほしいのです。
スクール講師も、企業研修講師も、プログラミングの楽しさを人に届けるという本質は変わりません。
ただ、その届け方は決して一つではない。
持っているITの知識と経験は、きっと誰かの仕事を変え、その人の毎日を少しだけ豊かにする力を持っています。
まだ自分でも気づいていない可能性が、あなたの中にあるかもしれません。
一歩だけ、踏み出してみませんか。