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「説明したのに伝わらない」と感じたことはありませんか

「説明したのに伝わらない」と感じたことはありませんか 教えることの本質って、いったい何だと思いますか。


長年、プログラミングの講義を担当してきた中で、私はずっとその問いと向き合ってきました。

最初の頃は「わかりやすく説明すること」こそが全てだと信じていました。

でも、それだけでは何かが足りない。

受講者の表情がどこか曇ったまま、講義が終わってしまう日が続いたことがあります。

うまく伝わっていない。

そのもどかしさは、今でも鮮明に覚えています。

一生懸命に言葉を選んで説明しているのに、なぜか届かない。

その感覚は、講師を続けていれば誰もが一度は味わうものではないでしょうか。


転機になったのは、ある受講者との何気ないやり取りでした。

「説明はわかるんですけど、自分でやってみると全然できないんです」という一言。

それを聞いたとき、正直、胸に刺さりました。

私は「説明する」ことに必死になるあまり、「やってみる」という工程を軽く見ていたのだと気づいたのです。

丁寧に説明すれば伝わると信じていた自分の思い込みが、音を立てて崩れた瞬間でした。


実のところ、人が何かを習得するプロセスというのは、頭で理解することと、手を動かすことの両輪で成り立っています。

どちらか一方が欠けると、学びはなかなか定着しません。

たとえるなら、自転車の乗り方をどれだけ言葉で説明されても、実際にペダルを踏まなければ体は覚えられない、あの感覚に近いかもしれません。

頭の中では完全に理解できていても、いざ実践しようとすると手が止まってしまう。

そういう経験、あなたにも一度くらいはあるのではないでしょうか。


そこから私は講義のスタイルを大きく変えました。

説明をしたら、必ずその場で手を動かしてもらう。

小さくていい、完璧でなくていい、まず「やってみた」という事実を積み重ねてもらうことを最優先にしたのです。

最初は「え、もうやるんですか」と戸惑う受講者もいました。

でも、それでいいと思っています。

完璧に理解してから動こうとすると、人はなかなか動けない。

まず動いて、動きながら理解を深める。

そのサイクルを意図的に作ることが、講師としての私の役割だと考えるようになりました。


すると、変化は思っていたよりずっと早く現れました。

受講者が「あ、できた」と声をあげる瞬間があります。

その一瞬の表情の変化が、講師として何よりもうれしい瞬間です。

その小さな成功体験が、次の挑戦への燃料になる。

1回できると「もう1回やってみたい」という気持ちが自然に芽生えてくる。

その連鎖が起きると、講義の空気ごとがらっと変わります。

質問が増えて、笑い声が増えて、教室全体が前向きなエネルギーで満たされていく感覚は、何度経験しても新鮮に感じます。

ちょっとした「できた」が、こんなにも人を変えるのかと、改めて驚かされることがあります。


ふと気づいたことがあります。

受講者が前のめりになってくれると、こちらの説明にも熱が入るのです。

「もっとうまく伝えたい」「もっと面白い例えはないか」と、自分自身も考えるようになる。

つまり、成功体験の積み重ねは受講者だけのものではなく、教える側にとっても成長の機会になっていたのです。

教えることで自分が鍛えられている。

そのことを実感してから、講義に向かう気持ちが変わりました。

毎回が学びの場であり、毎回が新しい発見の場でもある。

そう感じられるようになったことは、私にとって大きな転換点でした。


これは信頼関係の話でもあります。

「この人が言う通りにやったら、ちゃんとできた」という体験が積み重なると、受講者の中に安心感が生まれます。

次に難しい内容に差し掛かったとき、「わからなくてもとりあえずやってみよう」という姿勢で臨んでくれるようになる。

とはいえ、その信頼は一度の成功でできるものではありません。

地道に、丁寧に、回数を重ねて初めて育っていくものだと実感しています。

信頼関係は作るものではなく、積み重ねの中で自然に育つものなのかもしれません。

そしてその関係が育ったとき、教えること自体が本当に豊かな体験になっていきます。


ITエンジニアとして働いていた頃の私は、一度、深刻な挫折を経験しました。

仕事が楽しくなくなり、気力が失われていった時期のことです。

それでも今こうして講師として前を向いていられるのは、「誰かが前向きになれる瞬間に立ち会えること」の喜びを知ったからです。

あの挫折があったからこそ、受講者が壁にぶつかっている気持ちを、少しだけ近い場所で感じられるようになったと思っています。

うまくいかない経験をしてきたからこそ、「できなくて当然」と自然に思えるようになりました。


さて、あなたが誰かに何かを伝えるとき、相手に「やってみる」機会をどれだけ用意できているでしょうか。

教える側だけでなく、チームで仕事をする場面でも、親が子どもに何かを教える場面でも、同じことが言えると思います。

説明の丁寧さはもちろん大切です。

それでも、体験の積み重ねこそが、人の自信を育てる一番の近道ではないかと、私は今も強くそう感じています。


具体的に伝えること、そして実際に体験してもらうこと。

この2つを組み合わせることで、学びはぐっと深まります。

そしてその深まりが、互いの関係をより前向きで積極的なものに変えていく。

教えることの醍醐味は、きっとそこにあるのだと思います。

伝える技術は磨けば磨くほど奥が深い。

だからこそ、飽きずに向き合い続けられるのかもしれません。


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