IT企業研修講師として活動する中で、ふと気づいたことがあります。
それは「受講料の金額に関わらず、常に全力で最高の講義をお届けする」という姿勢の重要性です。
この考え方が私の講師人生を大きく変え、結果的に受講者の皆さんにも最高の学習体験を提供できるようになったのです。
なぜこの姿勢が重要なのでしょうか。
理由は明確です。
受講者の方々にとって、その講義は人生を変える可能性を秘めた貴重な時間だからです。
金額の大小ではなく、一人ひとりの真剣な想いに応えることこそが、講師としての責任なのです。
実際に、私自身がこの考えに至るまでには失敗がありました。
起業したばかりの頃、受講料が安い案件では「まあ、このくらいでいいか」と手を抜いてしまったことがあったのです。
その結果、受講者からの満足度が低く、リピートの依頼もありませんでした。
その苦い経験から学んだのは、金額と品質は比例させてはいけないということでした。
この教訓を胸に、私は講義の準備方法を根本的に見直しました。
受講料が10万円の案件でも100万円の案件でも、同じレベルの準備時間を確保するようにしたのです。
資料作成には平均で20時間、デモ用のプログラム作成には15時間を費やします。
確かに準備は大変ですが、その努力が講義の質を確実に向上させています。
さらに、合同会社フェデュケーションでの研修実績を分析してみると、興味深い傾向が見えてきました。
受講料の安い案件ほど、受講者の学習意欲が高いケースが多いのです。
予算に制約がある中でも研修を実施しようとする企業の受講者は、「この機会を無駄にしたくない」という強い気持ちを持っています。
ある地方の中小企業での研修がまさにそうでした。
受講料は都市部の大企業の3分の1程度でしたが、受講者の質問は非常に具体的で実践的でした。
「この技術を使って、うちの業務をどう効率化できますか」
「来月のプロジェクトで実際に活用したいのですが」
といった、現場に密着した質問が次々と飛び出したのです。
そんな受講者の皆さんを目の前にして、手を抜くなんてことはできません。
むしろ、限られた予算の中で研修を実施してくれた企業と受講者への感謝の気持ちから、より一層気合いが入ります。
プログラミングの楽しさを分かち合える瞬間こそが、この仕事の最大の喜びなのです。
しかし、全力投球を続けるのは簡単ではありません。
特に連続で講義が続く週などは、体力的にも精神的にも疲れが溜まります。
そんなときに支えになるのが、受講者の笑顔と成長の瞬間です。
「まついさんの講義のおかげで、プログラミングが好きになりました」
という言葉をいただくと、全ての疲れが吹き飛びます。
実のところ、この全力投球の姿勢は数値でも証明されています。
過去2年間の講義満足度を分析したところ、受講料の高低に関わらず平均4.7点(5点満点)を維持しています。
また、リピート受講率は82パーセントと高い水準を保っており、多くの企業から継続的にご依頼をいただいています。
とはいえ、最初からこの境地に達していたわけではありません。
ITエンジニア時代に挫折してうつ状態になった経験が、この姿勢の土台になっているのかもしれません。
どん底を経験したからこそ、今の仕事の素晴らしさが身に染みて感じられるのです。
あなたも仕事において「この程度でいいか」と妥協してしまうことはありませんか。
私の経験から言えるのは、妥協した瞬間から成長が止まってしまうということです。
どんな条件であっても、自分の持てる力を最大限発揮することで、予想以上の結果が生まれるものです。
Gallup認定ストレングスコーチとしての活動でも、同様の原則を貫いています。
セッション料金の多寡に関わらず、クライアントの人生を変える可能性のある大切な時間として、全力で向き合っています。
人の成長に関わる仕事では、手抜きという選択肢は存在しないのです。
先月も印象的な出来事がありました。
小規模なスタートアップ企業での講義で、受講者はたった5名でした。
通常の10分の1程度の受講料でしたが、私は普段と同じように20時間かけて資料を準備しました。
すると、講義後に受講者の一人から
「こんなに丁寧に教えてもらったのは初めてです。絶対にエンジニアになります」
という熱いメッセージをいただいたのです。
このような体験を重ねるたび、金額と価値は必ずしも比例しないということを実感します。
むしろ、どんな状況でも最高を目指すことで、自分自身の成長にもつながっているのです。
講義の準備を通じて新しい技術を学び、受講者との対話から現場の課題を知ることができます。
また、IT業界は技術の進歩が激しく、常に学び続ける必要があります。
全力で講義準備をすることは、自分のスキルアップにも直結しているのです。
最新のフレームワークや開発手法を調べ、実際に動かしてみることで、知識が定着し、より説得力のある説明ができるようになります。
さらに興味深いのは、全力で取り組んだ講義ほど、予想外の学びが生まれることです。
ある製造業の企業では、受講者から
「AIを使って生産ラインの効率化はできませんか」
という質問を受けました。
その場では詳しく答えられませんでしたが、後日徹底的に調べて追加資料を作成し、フォローアップの講義を実施したのです。
この経験がきっかけで、私自身がAIと製造業の分野に詳しくなり、新たな研修メニューを開発することができました。
受講者への真摯な対応が、結果的に自分の専門性拡大につながったのです。
まさに「情けは人の為ならず」を実感した瞬間でした。
受講者の楽しそうな表情を見ていると、この仕事を選んで本当に良かったと心から思います。
プログラミングの面白さを伝え、新しい可能性の扉を開くお手伝いができることに、深い充実感を感じています。
天職に出会えたからこそ、毎日えびす顔で過ごせているのでしょう。
最近では、オンライン講義も増えてきましたが、画面越しでも全力投球の姿勢は変わりません。
受講者一人ひとりの表情を見ながら、理解度を確認し、必要に応じて個別にフォローアップを行います。
物理的な距離があっても、心の距離は縮めることができるのです。
さて、皆さんにも同じような体験をしていただきたいと思います。
自分の仕事に妥協せず、常に最高を目指すことで、きっと予想以上の喜びと成長が得られるはずです。
金額や条件に左右されることなく、全力で取り組む姿勢こそが、真のプロフェッショナルの証なのです。
私はこれからも、一人でも多くの方にIT技術の楽しさを知ってもらえるよう、全力で講義に取り組んでいきます。
受講者の皆さんと一緒にプログラミングの世界を探求し、新しい発見を分かち合える瞬間を大切にしていきたいと思います。