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話すよりも聴くことから始まる本当のコミュニケーション

コミュニケーションと聞くと、多くの人が最初に思い浮かべるのは「話すこと」かもしれません。

上手に話せる人、説得力のある人、プレゼンテーションが得意な人が、コミュニケーション能力が高いと思われがちです。

しかし、長年様々な人と関わる仕事をしている中で気づいたのは、本当に大切なのは話すことよりも聴くことだということでした。


この気づきは、ある受講者との出会いから始まりました。

その方は研修中、ほとんど発言をされませんでした。

質問をしても短い返事しか返ってこず、最初は理解できていないのかもしれないと思っていました。

しかし、休憩時間にじっくりと話を聴いてみると、実は非常に深く内容を理解されており、独自の視点で問題を捉えていることが分かりました。


その経験から、話さないことと理解していないことは全く別だということを学びました。

そして、相手の真の理解度や考えを知るためには、まず相手の話を丁寧に聴くことが不可欠だと実感したのです。


聴くということは、単に音を耳で受け取ることではありません。

相手の言葉の背景にある思いや感情、そして言葉にならない部分まで感じ取ろうとする姿勢です。

相手が何を伝えようとしているのか、なぜそう考えるのか、どんな経験がその考えの基になっているのかを理解しようとすることです。


IT技術を教える際にも、この聴く姿勢は非常に重要です。

プログラミングの概念を説明する時、受講者がどこでつまずいているのか、何が理解しにくいのかを知るためには、まず相手の現在の理解状況を聴き取る必要があります。

一方的に説明を続けても、相手の状況に合わなければ効果的な学習にはなりません。


ある時、ループ処理について説明している際のことでした。

一通り説明を終えた後、「理解できましたか」と尋ねると、多くの受講者は「はい」と答えました。

しかし、実際に問題を解いてもらうと、多くの人が手を止めてしまいました。

そこで、一人ひとりに具体的にどの部分が分からないのかを聴いてみると、同じ「分からない」でも、人によって理由が全く違うことが分かりました。


ある人は for 文の構文は理解できているが、どんな場面で使うのかイメージできないと言いました。

別の人は、ループという概念自体は分かるが、実際にコードで表現する方法が分からないと言いました。

また別の人は、コードは書けるが、なぜそのような書き方をするのかの理由が理解できないと言いました。


このように、表面的には同じ「分からない」でも、その背景は人それぞれ全く異なります。

この違いを理解するためには、相手の話を丁寧に聴き、どこでどのようにつまずいているのかを正確に把握する必要があります。


聴くことの重要性は、技術的な内容を教える時だけでなく、人間関係全般においても同様です。

相手の視点や考え方が自分とは異なることを前提として、その違いを理解しようとする姿勢が大切です。


人はそれぞれ異なる経験を積み、異なる環境で育ち、異なる価値観を持っています。

だからこそ、同じ状況に対しても、人によって感じ方や考え方が違うのは当然のことです。

この多様性を認識し、相手の視点を理解しようとすることが、良好なコミュニケーションの出発点になります。


しかし、聴くということは思っている以上に難しいものです。

なぜなら、私たちは話を聞いている間にも、自分の意見や反論を考えてしまいがちだからです。

相手が話している内容に対して、「でも、それは違うのではないか」「自分だったらこう考える」といった思考が働いてしまい、本当の意味で相手の話に集中できないことがあります。


真に聴くためには、まず自分の先入観や判断を一時的に脇に置く必要があります。

相手の話を最後まで聞き、相手の立場に立って物事を考えてみる。

そして、なぜ相手がそのように考えるのかを理解しようとする。

このプロセスが、本当の聴くということなのです。


小学生の頃からコンピューターに触れ、長年技術畑を歩んできた経験から言えることは、技術的な問題には明確な答えがあることが多いということです。

しかし、人間関係やコミュニケーションにおいては、必ずしも一つの正解があるわけではありません。

複数の視点が存在し、それぞれに妥当性があることも珍しくありません。


エンジニアとして働いていた時期に経験した困難な状況も、振り返ってみると、技術的な問題よりもコミュニケーションの問題が原因だったことが多かったように思います。

チームメンバーとの意見の食い違い、上司との認識のズレ、クライアントとの要求の理解不足。

これらの問題は、お互いの話をもっと丁寧に聴いていれば避けられたかもしれません。


その後、研修講師という仕事に出会い、人と深く関わる機会が増えたことで、聴くことの重要性をより強く実感するようになりました。

受講者一人ひとりが持つ背景や目標、不安や期待を理解するためには、まず相手の話に耳を傾けることから始める必要があります。


例えば、プログラミングを学ぼうとする動機も人それぞれです。

転職を考えている人、現在の仕事に活かしたい人、趣味として楽しみたい人、子どもに教えたい人。

同じ技術を学ぶにしても、目的が違えば、重点を置くべき部分も学習の進め方も変わってきます。

これらの個別のニーズを把握するためには、相手の話をじっくりと聴く必要があります。


また、聴くことは信頼関係の構築にも欠かせません。

自分の話を真剣に聞いてもらえると感じた時、人は安心感を覚え、より深いコミュニケーションを図ろうとします。

逆に、話を聞いてもらえていないと感じると、心を閉ざしてしまうことも多いのです。


研修の現場では、受講者が質問しやすい雰囲気を作ることを特に重視しています。

分からないことがあっても、「こんなことを聞いて恥ずかしくないだろうか」「みんなは理解できているのに、自分だけが分からないのではないか」といった不安から、質問を控えてしまう人が多いからです。


そのような不安を取り除くためには、どんな質問でも歓迎し、丁寧に聴く姿勢を示すことが大切です。

質問の内容がどんなに基本的なものであっても、その質問をしたくなった背景には、その人なりの理由があります。

その理由を理解することで、より効果的な回答ができるようになります。


聴くことの効果は、相手を理解できるだけでなく、自分自身の成長にもつながります。

異なる視点や考え方に触れることで、自分の思考の幅が広がり、より柔軟な発想ができるようになります。

また、相手の質問や意見から、自分では気づかなかった問題点や改善点を発見することもあります。


人と人とのコミュニケーションにおいて、聴くことは話すことと同じかそれ以上に重要なスキルです。

しかし、学校教育の中では、話し方やプレゼンテーションのスキルは教えられても、聴き方についてはあまり教えられることがありません。

だからこそ、意識的に聴くスキルを身につけていく必要があります。


聴くスキルを向上させるためには、まず相手に対する関心を持つことが大切です。

この人はどんな考えを持っているのだろう、どんな経験をしてきたのだろう、なぜそのように感じるのだろうといった好奇心を持って接することです。


また、聴いている間は、相手の話を途中で遮らないよう注意することも重要です。

話の途中で質問や意見を挟みたくなることもありますが、まずは相手が言いたいことを最後まで聞くことを心がけます。

そして、相手が話し終わった後で、理解を確認するための質問をしたり、自分の意見を述べたりするようにします。


さらに、言葉だけでなく、相手の表情や声のトーン、身振り手振りなども注意深く観察することで、より深く相手を理解することができます。

時には、言葉では表現されていない感情や思いを読み取ることも可能になります。


聴くことから始まるコミュニケーションは、一方的な情報伝達ではなく、双方向の理解と共感を生み出します。

相手を理解し、相手に理解されることで、より深いつながりが生まれ、より効果的な協力関係が築けるようになります。


現代社会では、情報量が多く、スピードが求められることが多いため、じっくりと話を聴く時間を取ることが難しくなっています。

しかし、だからこそ、意識的に聴く時間を作ることが重要になってきます。

効率性を重視するあまり、人と人とのつながりが希薄になってしまうのは残念なことです。


技術系の分野に長年関わってきて感じるのは、どんなに技術が進歩しても、最終的には人と人とのコミュニケーションが成功の鍵を握るということです。

チームでの開発、クライアントとの打ち合わせ、新しい技術の学習など、あらゆる場面でコミュニケーションが重要な役割を果たします。


そして、そのコミュニケーションの質を高めるために最も大切なのが、相手の話を丁寧に聴くことなのです。

相手を理解し、相手の立場に立って考えることで、より良い解決策や新しいアイデアが生まれることも多いのです。


これからも、聴くことの大切さを忘れずに、一人ひとりとの出会いを大切にしていきたいと思います。

相手の話に耳を傾け、相手の視点を理解し、そこから新しい学びや気づきを得ていく。

そのような姿勢で、より良いコミュニケーションと、より効果的な教育を追求していきます。


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