先日、講師仲間と食事をしながら仕事の話をしていた時のことです。
様々な分野で教える立場にある仲間たちと話していると、私たちが共通して感じていることがあることに気づきました。
それは「人を育てる仕事の素晴らしさ」です。
技術や知識を教えることの先にある、もっと大きな喜びについて、深く共感し合ったのです。
プログラミング講師として活動する中で、私がいつも心に留めているのは「教える」という行為が単なる知識の伝達ではないということです。
受講者の可能性を信じ、その成長をサポートし、時には一緒に課題と向き合う。
そうした過程全体が「教える」という営みなのだと思います。
特にプログラミングのような技術的な分野では、単に正解を教えるだけでなく、考え方や取り組み方、さらには失敗から学ぶ姿勢までも伝えることが大切です。
受講者の成長に立ち会える喜びは、この仕事ならではの特権だと感じています。
最初は「プログラミングなんて難しそう」と尻込みしていた方が、少しずつコードを書けるようになり、エラーと格闘し、そして自分の力でアプリケーションを作り上げていく過程を間近で見られることは、何物にも代えがたい経験です。
「できた!」という達成感に満ちた表情や、「わかった!」という閃きの瞬間に立ち会えることは、私自身にとっても大きな喜びとなっています。
そして、教えることで自分も成長できるという側面も見逃せません。
受講者に説明するために、改めて知識を整理し直したり、わかりやすい例えを考えたり、時には質問に答えるために新たに調べ直したり。
そうした過程で、自分自身の理解も深まり、視野も広がっていきます。
「教えることは二度学ぶこと」という言葉がありますが、まさにその通りだと実感しています。
小学生の頃からプログラミングに親しみ、その後17年間ITエンジニアとして働いた経験は、今の私の教える活動の基盤となっています。
しかし、長い技術者生活の中で思わぬ挫折を経験し、うつ状態に陥った時期もありました。
その暗いトンネルを抜けた先で出会ったのが、IT企業研修講師という新たな道でした。
最初は不安もありましたが、教える喜びに目覚め、今では合同会社フェデュケーションを設立するまでになりました。
この変化の過程で気づいたのは、受講者の成長と自分の成長が見事に循環するという点です。
教えることで自分の知識が整理され、深まり、それがより良い教え方につながり、受講者の理解を促進する。
そして受講者からの質問や気づきが、また新たな学びを私にもたらす。
この相乗効果こそが、講師という仕事の醍醐味なのだと感じています。
特に印象に残っているのは、プログラミングに苦手意識を持っていた受講者が、少しずつ自信をつけていく様子です。
最初は「私には難しすぎる」と言っていた方が、基本的な概念を理解し、シンプルなプログラムを書き、そして徐々に複雑な課題にも挑戦していく。
その過程で表情が明るくなり、質問の仕方も変わってきます。
「これはできません」から「これをするにはどうしたらいいですか?」という前向きな姿勢への変化を見るのは、本当に嬉しいものです。
Gallup認定ストレングスコーチとしての経験も、プログラミング指導に大きく活きています。
一人ひとりの強みは異なりますし、学び方や理解の仕方も千差万別です。
論理的に考えるのが得意な人、視覚的に捉えるのが得意な人、実践しながら理解する人など、それぞれの特性に合わせたアプローチが効果的です。
受講者の強みを活かした指導ができると、学びの効率は格段に上がり、何より「自分に合った方法で学べる」という安心感が生まれます。
プログラミング講師として日々感じるのは、技術だけでなく「人」を見ることの大切さです。
同じ内容を教えるにしても、相手の理解度や背景知識、モチベーションによって、アプローチを変える必要があります。
時には励まし、時には挑戦を与え、時には共に考える。
そうした関わり方の多様性も、この仕事の魅力の一つです。
教える経験を積む中で、私自身の「教え方」も進化してきました。
最初は「わかりやすく説明すること」にばかり気を取られていましたが、今では
「考えるきっかけを提供すること」
「自ら解決する力を育むこと」
の重要性に気づいています。
単に答えを教えるのではなく、考え方や取り組み方を伝え、受講者自身が次の課題に直面した時に自分で解決できる力をつけてもらうことを意識しています。
技術の世界は日進月歩で変化していくため、プログラミング講師である私自身も常に学び続ける必要があります。
新しい言語やフレームワーク、開発手法などを追いかける中で、「学び続ける姿勢」そのものも受講者に示せるのは嬉しいことです。
「先生だって知らないことがあるんですね」と言われた時、「もちろん。だからこそ一緒に学んでいきましょう」と答えられる関係性が築けることは、とても価値のあることだと感じています。
人を育てる仕事の中で、時に困難に直面することもあります。
理解が進まない受講者に対してどうアプローチするか、モチベーションが低下している方をどう励ますか、個人差のある集団をどうまとめるか。
そうした課題に向き合い、解決策を模索する過程もまた、私自身の成長につながっています。
講師仲間との情報交換や経験共有は、そんな時の大きな支えになってくれます。
多くの人たちにITの楽しさを知ってもらうこと、そして仕事を楽しめる人たちを増やしていくこと。
これが私の目標です。
プログラミングは単なる技術習得ではなく、論理的思考力や問題解決能力を高め、創造性を発揮する手段でもあります。
そうした力は、どんな分野でも活かせる普遍的なものです。
技術を通じて「考える楽しさ」「創る喜び」「できた!という達成感」を多くの人に体験してもらいたいと思っています。
人生が豊かになるのは、必ずしも物質的な豊かさだけではありません。
新しい知識やスキルを身につけ、それを活かして何かを生み出す喜び、そして誰かと分かち合う満足感。
そうした経験の積み重ねが、本当の意味での豊かさをもたらすのだと信じています。
プログラミング学習は、そんな豊かさを実感できる素晴らしい機会を提供してくれます。
講師としての日々は、常に新しい発見と学びの連続です。
受講者一人ひとりが異なる背景や目標を持ち、それぞれの成長過程も千差万別です。
そうした多様性に触れる中で、私自身の視野も広がり、人間理解も深まっていきます。
時には自分の想定を超える質問や発想に出会い、「なるほど、そういう見方もあるのか」と刺激を受けることも少なくありません。
この「成長の連鎖」こそが、講師という仕事の真髄なのかもしれません。
教える側と学ぶ側という固定的な関係ではなく、互いに影響し合い、高め合う関係性。
そこには知識や技術の伝達だけでなく、人としての成長や気づきがあります。
講師仲間との会話で再確認したこの喜びは、これからも私の原動力であり続けるでしょう。
「天職を見つけてえびす顔になっちゃいました」というのは、冗談のようでいて本当のことです。
朝、目が覚めた時に「今日も受講者と一緒に成長できる!」とワクワクする気持ち。
それは、長年探し続けてきた「自分の居場所」を見つけた喜びなのかもしれません。
皆さんも、教えること、学ぶこと、成長することの喜びを日々の生活の中で見つけられますように。
そして、いつか自分だけの「えびす顔」になれる瞬間に出会えることを心から願っています。
人を育てる仕事の素晴らしさ。
それは受講者の成長に立ち会える喜びと、教えることで自分も成長できる、この相乗効果の中にあります。
そしてその連鎖は、私から受講者へ、受講者から次の誰かへと、限りなく広がっていく可能性を秘めています。
この素晴らしい循環の一部であることに、心から感謝しています。